或るサラリーマンのブログ

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【イベントレポ】星野リゾート社長が語る、日本文化のセールスポイント

虎ノ門ヒルズで行われた、NewsPicks×HIP 第5回「文化・アート」にいってきました。

 

東京をもっとイノベーティブに。』 そのためにはどうしたらよいのか?
東京をイノベーティブにする7つの要素から考えるセミナーシリーズです。
http://peatix.com/event/189784

 

ゲストの一人目は、星野リゾート社長の星野佳路氏。

 

ー旅館再生を通じて見えてきた、日本旅館のよさとは

日本旅館のよさを考えるのに、機能面、快適性、デザインという切り口で考えてはいけない。
西洋のホテルと日本の旅館では、パブリックエリアの考え方が違うことに気づいた。
西洋のホテルでは、プライベートな空間は自分の部屋の中だけ。部屋の外に出ると、たとえ施設内でもそこはパブリックな場所になる。
一方、日本の旅館は、部屋の中は完全なプライベート空間だが、部屋の外でも建物の中はパブリックではなく、セミプライベートな空間となる。例えば、浴衣など寝巻きのような格好でウロウロする。パブリックな空間とプライベートの空間を分けるトリガーとして、建物の中に入る時に靴を脱ぐ、という行為があると考えている。

星野や東京では、このセミパブリックの空間を日本旅館の強みと捉え、サービスを展開しているという。

 

ー日本は観光立国になりうるのか
近年の外国人観光客の急増には、三つの要因があると考えている。

①世界経済がよかったこと

②円安であったこと

③テロの脅威

日本に観光客が増えているとはいえ、世界における旅行者のシェアが爆発的に伸びているわけではない。世界中で、人の移動は活発化してきている。そのような環境の中で、旅行者の中での安全意識の高まりから、拡大する旅行市場の受け皿になってる。今後、その傾向に多少の修正はあると思うが、チャンスであることには変わらない。


ー日本の課題は

国内移動コストが高い。台湾から東京まで来られるのに、東京から北海道行くのに3万円かかる。規制が厳しいのも課題だ。Airbnbやウーバーをはじめとしたシェアリングエコノミーエコは世界標準になりつつあるのに、日本は抵抗が強く、ふきゅうがすすまない。世界標準になろうとしている環境が日本に整っていないと、世界から日本に来た時に不便に感じてしまう。世界から取り残される恐れがある。そういった意味で課題はあるが、国としてうまく、早く取り入れる必要がある。

 

星野リゾートの人材育成方針は
ケンブランチャードをとても参考にしている。ワンミニッツマネージャーを読んで衝撃を受けた。

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B00BG1CA96/ref=mp_s_a_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&qid=1472822768&sr=1-1&pi=SY200_QL40&dpPl=1&dpID=51ZwmxI9xhL&ref=plSrch

 

エンパワーメントで述べられていることも、あらゆる面で取り入れている。

https://www.amazon.co.jp/1分間エンパワーメント―人と組織が生まれ変わる3つの秘訣-K-ブランチャード/dp/4478350396


まず考えるべきは、各人の持ってる能力を、まずは活かすこと。そのあと、伸ばすこと。最初から能力を伸ばすことばかり考えると、働く人は楽しくなくなってしまう。まず活かすことを考えなくてはいけない。
人事異動はは立候補制。年に一度、立候補大会をやる。
まず、やりたい人に手を上げてもらう。人事は、手を上げた人からしか抜擢できないようにしている。これが、優秀な人にも地方で長く働いてもらえる要因にもなってると思う。

 

星野リゾートの今後の展開
日本旅館を世界の大都市にも広げていきたい。星野や東京はその第一歩。東京で通用すれば、ニューヨークやパリでも通用すると思っている。

 

ー海外で日本旅館に泊まりたいというニーズはあるか
例えば、靴を脱いでくつろぐという体験。リッツカールトン、フォーシーズンズは靴を脱がせることは絶対しない。日本と近い台湾でさえ、ベッド以外は靴を脱がない。
靴を脱ぐ体験、安らぎ、足の感覚、世界に受け入れられるべき、特別な体験と確信してる。

 

 

社員の能力をまずは活かすという考え方、やりたい仕事をやってもらうという考え方は、大企業の人事と真逆であると感じた。もちろん、それをそのまま大企業にあてはめてもうまくいかないとは思うが、やりがいを感じて働ける企業とは何かを考えるのに多くの示唆があると思う。

日本文化については、靴を脱ぐことにとどまらず、日本文化に潜む顧客体験や経験は、世界で戦う上で大きな武器になると感じた。我々日本人が無意識にとっている行動や文化の中にも、世界からみると特別な体験になるものがまだまだ潜んでいるのではないかと思った。