ベンチャーとコラボした大企業の人の話を聞いてきた
大企業にもイノベーションが求められる時代。
大企業は世の中に与える影響力が大きいものの、スピード感ではベンチャー企業に劣る。
変化の早い今の時代でイノベーションを起こすには、スピード感は必要不可欠。
大企業がベンチャー企業とコラボして、イノベーションを起こす取り組み(オープンイノベーション)がかなり浸透してきたように思える。
今回は、ベンチャー企業と大企業をマッチングさせるサービスを利用して、オープンイノベーションの取り組みをした大企業の担当者の話を聞いてきた。
A社(不動産会社)
◯ベンチャーとコラボしたきっかけ
社長がオープンイノベーションに興味を持っていた。本業の業績が安定していて資金的にも余裕があり、社長は今が新しいビジネスを考える時期だと考えた。
◯現状への課題意識
経営層から新規事業を生み出せ!というミッションがあるものの…
・業務が専門的なため、メンバーが固定化されている
・部門間の交流が少ない
・日々の業務に追われ、新しいことをやる余裕がない
・チャレンジしづらい保守的な雰囲気
◯話を聞いて感じたこと
トップダウンのプロジェクトなので、社内の抵抗に会うことが少なそうだと感じた。
B社(マーケティング会社)
◯ベンチャーとコラボしたきっかけ
10年ほど前から、新規事業創出を目的としてVCを通じたベンチャー紹介を受けていたが、直近3年の実績でも、1,500社の紹介を受けて事業部に紹介したのが150社、そのうち事業化に至ったのは1件であった。新規事業創出の実績を作ることを求めて、コラボの取り組みを始めた。
◯今までうまくいかなかった原因
・仕組みが悪い(VCの紹介を事業部に横流しするだけで事業部の狙いとズレている)
・経験不足(新しい事業を考えるための思考方法が無かった、何を何個売るか、という考え方が染み付いていた)
・意識の不足(昔より減収したものの、コスト削減による増益のため、本当の意味での危機感がない)
◯社内巻き込みのための工夫
オープンイノベーションの取り組みを積極的に発信した。日経新聞への掲載、全社員向けに社長メッセージを発信、HPやFBで情報発信。
また、キックオフ時にはベンチャー29社と社員150人を集めてオリエンテーションを実施。オープンイノベーションの先行事例の大企業の社員を呼んで講演会も実施した。
◯話を聞いて感じたこと
トップダウンのプロジェクトではないため、社員を巻き込む施策を数多く打っていると感じた。
オープンイノベーションというと、どんなテーマを設定するかとか、どんなベンチャー企業と手を組むかとかを考えてしまうが、実際にコラボして事業にしていく段階で、社内の協力は必要不可欠。そのために、早い段階から社員を巻き込んで、仲間を作っておかなければならないと感じた。
話を聞いた2社は、プロジェクトの参加メンバーの意識が、自発的になったとか視野を広く持つようになったとか、ポジティブな変化が現れているようだった。
私が会社でオープンイノベーションをやる場合も、トップダウン型ではないから社員の巻き込みのために手を打たなければならないが、強引に巻き込んでやらされ仕事にならないように、ポジティブな変化をもたらすようにしたい。